サロンにとって、どの美容器を選ぶかということは、経営の成否に直結する大事です。
仕事柄、エステティシャン(プロ)の方々に、こんな質問を良く頂戴します。
実際、種類が多すぎて、もうどれを選べばいいのか分かりません。
そんなとき、押さえておかなければいけない選択の基準は、大きくみっつあります。
これを意識していないと、つい、営業マンの天使のような笑顔と難しい理屈に参ってしまいます。
高いお金をかけたのに、あまりお客様が定着しない場合は、この選択ミスが影響しているかもしれません。
その基準を述べる前に、ハンド施術と美容器施術について、その住み分けの考察です。
流行っているハンドオンリーのサロンさんの技術は素晴らしく、深い感動すらお客様に与えます。
事実、医学的に言っても、直接触れてもらえるハンド施術は大切で、エステに欠かすことはできません。
しかし技術の進歩は今や目覚ましく、美容器でなければできない体型の変化などが著しくなって参りました。
それは例えばAIに将棋の名人が敵わなくなっているようなもので、今やハンドと美容器の両立を考えるべき時代になっています。
つまりハンドと美容器は、施術の役割が違うのです。
お客様の心と体の満足度のためにも、両者を取り入れたメニューの工夫が必要です。
では、美容器の選択基準をご説明いたします。
ひとつ目は、『速効性』です。
一昔前は、癒されたいお客様が沢山いらっしゃいました。
これは時代の違いと共に、そこまで凄い変化をもたらす美容器がなかったことが背景にあります。
今も癒しは重要な要素ですが、しかし、変化の実感が伴わないと、他所のサロンに移られてしまうようになりました。
しかも多くの場合、エステティシャンに「変化に満足できないから」などと何も教えてくれず、そっと乗り換えてしまいます。
なぜお客様が来店されなくなったのか分からない、そんな事例がある程度重なれば、施術のあと、そのお客様が自分の変化にどの程度「びっくり」されていたか、を思い出してみてください。
その思わず漏れた感動が薄ければ、もしかしたら美容器の選択か、使い方、組み合わせ方の間違いかもしれません。
1度で変化に驚くのか、数回通って変化が分かるのか。
ここにサロンの成否がかかっています。今はサロン数が多く、お客様はすぐすぐ綺麗になりたがっているのです。
ふたつ目は、『安全性』です。
これは重要な問題です。
なぜならば、美容は医術ではないからです。
例えば病を治すには病院へ行きます。
患者さんは、お医者さんに薬をもらいます。
副作用があるのは常識で、皆、覚悟をして薬を飲みます。
病を治すメリットが勝るからですね。
しかし、エステにはお客様は綺麗になりたいから来られます。
綺麗になりたいのに、真逆の結果(火傷や神経障害など)が現れた場合、激怒されます。
ウエストがひきしまるなら火傷してもいい、そんな風に考えていらっしゃらないからです。
美容器を選択する場合、説明を鵜呑みにせず、きちんと調べて、安全性も基準に加えましょう。
みっつ目は、『時間配分に負担がないか』です。
昨今、機能が沢山ついている美容器が増えてきています。
一見、あれこれ機能がついていると、お得感があります。
しかし私は、少し嘆かわしいことだと憂慮しています。
なぜならば、手間隙かけることと、変化の満足度は別のもの。
時間をかけるなら、あれこれ手を変え品を変え少しずつ時間を配分する、ではなく、ひとつの施術(美容器)にじっくり時間をかけ、最後にハンド施術でしっかり満足いただく。
お客様の求めるものは、それではないかと思います。
例えば、病気の時にお医者さんに行きます。
色んな種類のお薬を山ほどもらって嬉しいでしょうか?
あれもこれも試してみて治らなかったら、身心ともに疲れますよね。
もちろんエステは医療ではありませんが、病気の時にお医者さんに何を求めるかをお考えになれば、自ずと答えにたどり着きます。
短い時間で答えがでる、そんな病院はありがたいものです。
簡単で施術者にもお客様にも負担がかからず、それなのに、お客様の感動のお声が聞ける。
そんな美容器を選ばれたら、あとはエステティシャンである貴方の心の在り方ひとつなのですから。
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